現実

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「ここでいいの?」 次の日の朝、麻里子は裕介にタクシーで家の近くまで送ってもらった。 「うん。もうすぐそこだから。」 「…じゃあな。楽しい一夜をありがとな。」 「あっ…ねぇ!」 「ん?」 「また…会える?」 「……ん~…さぁな。」 裕介は運転手に一声かけて車を発進させた。 窓から手の平をヒラヒラとさせて去っていってしまった。 …あーあ。お姫様みたいで気持ちよかったのに。 いい事は続かない。 観覧車の係員のとこに行けばよかったかな。 「あ、あんた!」 麻里子は、次の週の日曜にあの遊園地の観覧車に行ってみた。 係員はやっぱりいた。 「もう!この間、ずっと待ってたんだよ?」 麻里子は係員に近づいた。 「俺だって待ってたよ!雨の中!」 「あたしの方が長く待ってた!あのあと!すぐに橋の上行ったんだよ!」 「あ…すぐ?」 「なかなか来ないからあたしは……」 裕介って人と……しちゃって……。 「まぁ…あと少しで終わるから。待っててよ。今度こそ行くから。あ、次は駅前のコンビニで待っててよ。」
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