観覧車

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たとえば 風も吹いてないのに まだ落ちるはずのないリンゴが いきなり落ちる。 恋ってそういうもの? 恋もいきなりなのかな? 麻里子は一人で遊園地にきていた。 「雨…降りそう…。」 空は黒い雲で覆われていた。 麻里子は屋外のベンチに座ってコーラを一口飲んだ。 周りには人が少なくなっていく。 さっきまでカップルがたくさんいたのに。 みんな屋根のあるところに避難したようだ。 麻里子は観覧車の時計を見た。 「16時か。」 立ち上がって自分も降り出しそうな雨から避難しようとすると 靴に一枚の紙が風にふかれてくっついた。 「なんだ?」 麻里子はかがんでその紙を取った。 「これ…観覧車のチケットじゃん。」 しかも未使用。 辺りを見渡したが麻里子の周りには誰もいない。 「…使っちゃおうかな。」 麻里子は階段を上りはじめた。
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