242人が本棚に入れています
本棚に追加
/58ページ
麻里子はテレビのニュースに釘付けになった。
社長になったのは裕介の兄だった。
「おい、麻里子!聞いてるのかよ。」
「え?あ、ごめんなさい。なに?」
麻里子は裕介と別れて一ヶ月後に新しい彼氏ができた。
そして昨夜から彼氏のアパートに泊まって昼食を食べている最中だった。
「おまえ、なんで俺の話聞いてないわけ?」
麻里子は髪をつかまれ、椅子から落とされた。
「痛いっ……やめてっ…………」
最初は優しかった彼氏は半年も経つと豹変して気に入らないことがあると麻里子に暴力を振るうようになった。
でも寂しくて
誰かといないと
裕介を思い出してしまう。
麻里子は叩かれている時は痛みで裕介を忘れられた。
だから
新しい彼氏と別れられないでいた。
麻里子の身体には
たくさんのアザと
裕介の温もりだけがなかなか消えないでいた。
最初のコメントを投稿しよう!