242人が本棚に入れています
本棚に追加
麻里子は怪我をした足を引きずりながら部屋のドアに向かった。
裕介に会ってもまた裕介はあたしの前からいなくなる。
もう
追いかけるのは疲れたの。
もう
前みたいに追いかけるのは無理。
裕介に会う前にここを出ないと………
ガチャ
麻里子がドアを開くと
裕介が立っていた。
相変わらずのブランドのスーツに身をつつみ
ヒゲはなくなっていたが
大きな瞳で
魅惑的な視線で麻里子を見つめてる。
「裕介………」
「麻里子ちゃん……」
裕介が麻里子に手を伸ばした。
麻里子はそれを避けるようにホテルの廊下を足を引きずりながら壁に寄りかかりながら進んだ。
「麻里子ちゃん!」
裕介が麻里子の肩を掴んだ。
「やめて!離して!」
麻里子の声が廊下に響く。
「麻里子ちゃん……」
「もう……あんな思いしたくないの。裕介を追いかけるのは……もう……疲れたの。……離して……」
麻里子の涙は廊下のカーペットにポタポタとこぼれ落ちた。
最初のコメントを投稿しよう!