最新鋭戦略的駆逐艦あおしお

うぉーにんぐ

　この、あおしお…とは、三年前に就航し、私が副艦長を勤めるこの船、そう最新鋭戦略的駆逐艦三万五千トンの艦名だ。

　あおしお…と言う、少し恥ずかしい艦名の名付け親は、海上防衛軍の総幕僚長だが、防衛大学卒のインテリのわりには、言葉の持つ意味を知らないらしい。

　黒潮や若潮ならともかく、総幕僚長は、どうやらこの船に青い紺碧の大海原をイメージしたらしいが、そもそも青潮とは本来…

　やめておこう。それに命名会議では、総幕僚長の側近連中も、防衛大学を始めとする国立大学卒のエリート＆インテリのはずであるが、賛同はすれど、誰ひとり反対意見を述べた者はいないとの話だ。

　逆に素晴らしいネーミングですねと、総幕僚長にお世辞やおべっかを使い持ち上げているのも見え見えだ。

　そんな馬鹿げた会議の光景が目に浮かぶ。

　まぁ、縦割りの組織とはこんなものだろうけどね。

　それに、どちらかと言えば、私も組織側の人間だし、艦名が赤潮にならなかっただけでも良しとしょうか。