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「・・・仮にでも、此処、リムスシクロ国に一つしかない、学校兼ギルド、セイント・ローズの最高責任者。
学長兼ギルドマスターの面影すらないわね。
アリア。」
「貴女もその娘よ~♪」
「なった覚えはないわ。」
「あら・・・。」
「私は養子。
それ以下はあっても、それ以上はないわ。」
凛と響く低い声で念押しすると、用意されている朝食の方へ足を運ぶカノン。
それを切なそうに見つめる女性・・・アリア・モーガン。
赤い髪は短くボブに切り揃えられ、同じく赤い瞳の目はたれ目の彼女。
今の彼女は、国一の強さを誇るギルドマスターには、到底見えないだろう。
見えるのは、ただ純粋に娘を思う母親のそれ。
(カノン・・・カノン・モーガン。
貴女はもう私たちの娘なのよ?
貴女の時は・・・あれから止まったままなのね・・・。)
アリアは、ふぅ~っと深い溜め息を一つつくと、
自分も朝食を食べるべく、席につく。
「あ、そうそう忘れるとこだったわ。」
「・・・・・?」
思い出したように話しだすアリア。
だが、顔は思いっきり何かを企む顔だった。
怪訝な顔でアリアの次の言葉を待つカノン。
「貴女、今日から学園に入れるからね。」
「は・・・・?」
今のカノンの顔を表現すれば、鳩が豆鉄砲をくらったような顔だろう。
「昨日言うつもりだったんだけど、私寝ちゃって。」
アリアはギルドマスターである。
毎日が多忙で、忙しい事はカノンも知っている。
が、流石に当日とはいささか急過ぎるにも程がある。
カノンもやっと頭が働いたのか、いつもの表情に戻る。
「何?消されたいの?なら今すぐに・・・。」
「ちょーっと待った!!!
何で!?
何でそうなるの!?
話を最後まで聞きなさい!
そしてその球体消して!」
必至なアリアに、一つ溜め息をつくと、手に作り出していた真っ赤な球体を消す。
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