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「貴女、国一つ吹っ飛ばすつもり?」
冷汗をかきながら、アリアは娘を咎めるが、彼女にはどうでもいいことらしい。
「・・・・。で?」
「貴女には、今日から学園通ってもらうわ。
そしてギルドにも加入してもらうわ。」
「何で?」
「貴女ね・・・この国、リムスシクロの法律くらい知っときなさい。」
大きく溜め息をつくとアリアに、カノンはまだ納得がいかない様子だ。
「この国は16歳になったら、学園とギルドにに入って登録するのがルール。」
「・・・めんどくさい。」
「貴女の部屋に制服一式と、説明書置いてあるから。
あ、鞄と教科書も置いてあるわよ。
あーあと、ナイフとかロッドとかその他もろもろも貴女の空間にしまって持って行きなさいね。」
「・・・・はい。」
「あ・・・行く時、転移しちゃダメよ?
まだ、習ってない設定なんだから。」
「・・・・・。」
最後は釘を射すようだったが、カノンはとにかく説教もどきの説明に飽きたらしい。
欠伸を零す始末だ。
「こら!ちゃんと聞いてるの?」
もうアリアは、そこら辺のお母様顔まけである。
「ま、言っても聞かないんだろうけど。
学校もギルドも、敷地内だもんね。」
最後の言葉も、学長でもなく、ギルドマスターでもなく、母親らしい言葉だったが、カノンは目だけで見て、先に食べ終わったのか、席を立つ。
自らの部屋に戻るカノンの背に、アリアは願う。
これが良い転機となる事を。
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