脇役君、初染め体験。

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屋敷の外に出てしばらく歩くと、徐々に田園風景が見え始めた。 この獣人の里とやらはかなり土地が広いらしく、里内でその家の作るものに合わせて区画整理がされていた。 先程までいたのは衣類関係の区画で、目の前に広がっている通り次は穀物類、それも米である。 個人的にこの世界でも米が食えると分かっただけ、テンションが八割ましだ。 「義助、もう少しでつくぞ」 フレイズさん家はアドヴァリのその特殊な製作法から、衣類関係の区画と穀物類の区画の間にたっているそうだ。 「おい、フレイズの。いるか!」 「里長か?どうされた?」 一軒だけポツンと区画から取り残された民家の前でガウスさんが声をかけると、狸が家の中から現れた。 ずんぐりした体、尾は太く、脚は短く、耳は丸くて小さい。 腰簑を纏った紛れもない狸が、今俺の前に現れた。 同時に俺のフレイズさん像が崩れ去った。 「えと、貴女が俺を助けてくれたフレイズさん?」 「ん?ああ、君が娘が拾ったという人間族の男の子か。 娘なら今泥田にいるぞ?」 「じゃあ、あなたは?」 「俺はレギン・フレイズ。 フレイズ一家の大黒柱だ」 その一言で凄い安堵した。 良かった。 希望はまだ消えちゃいない。 やっぱりアレだよ。 異世界来て獣っ娘が可愛いかどうかは結構重要だ。
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