蹉跌

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 そこは外人墓地のような風情だった。  きっちり1メートル四方の高さ40cmの緑泥岩の直方体が等間隔に三十個も並んでいた。それが四列。  そして、手前側の幾つかには、円柱状の金属シリンダーが天井と墓石を結んでいた。それは、地中海文明のようでもあった。コリント様式の 柱が、岩石がなく、鉄が容易に製造できる文明。  そう、文明と言うのは時として想像の外にある文化世界を作り、異なる二つの文明が出会ったときには、相容れず、相手を殲滅する戦争になるものらしい。  巨大シリンダーの柱の列の終わりに、倉庫にでもあるような金属のラックが聳えていて、赤い液晶の数字が無限に点滅し変化していた。  宮内はクリップボードの幾つかにチェックを入れ始めた。
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