蹉跌

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「えと、名前覚えにくいな」 「丸尾です」 「んじゃ、丸尾くん。数字がすごいスピードで増えている機械だけオフにしていって。液晶の右のスイッチ」 「こうですか」 「うん」  八割ほどの機械がスイッチを切られた。  残された十三台ほどの機械の数字ははほとんど変化がなかった。それはほとんどが一カ所に固まっていた。  一つだけ、スイッチを切られた液晶の中に、数字を残しているものがあった。 「圧力破壊検査ですか?」 「うん、このシリンダーは1時間に三百グラムづつ油圧を上げる。それが、上の数字で、真ん中が、シリンダーの実際の広がり」 「じゃ、ほとんどのピースは壊れたということですか。 「ああ、一晩で壊れたから、1平方センチあたり二キロの圧力に耐えられなかったんだな。 「だって、まだ、未熟な砂泥岩でしょ。実際、体重七十キロのぼくが、歩行するだけで、足跡ができるくらいだから」 「うん、この地層はすごく柔らかくて脆い」
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