蹉跌

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 現場の仕事は楽なものばかりではなかった。  あの、一メートル四方高さ40センチメートルのテストピースをツルハシと、斧で、岩盤から掘り起こして、整形しなくてはならない。  そして、その真上の天井に、一メートル四方の、テストピースに水平な平面を削り出さねばならない。  天井を削るのは、さすがにつらかった。斧で、崩した破片はもろに自分の顔面に落ちてくる。  そして、テストピース削りは、無限に続けられるのだ。  酒と、麻雀と、眠り。  理科系肉体派の生活は、二週間続いた。  その間に、大学から歩いて10分の後楽園球場で、あろう事か、キャンディーズが、解散してしまったのだ。
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