8人が本棚に入れています
本棚に追加
だが、丸尾には、見つけ出せなかった。
1978年4月
旅館 海遊館
バイト最終日。
監督が赤ウーピンを切り出しながら言った。
「本来なら、バイトは同じ人間を入れてはいけないことになってる。けど、丸尾。おまえ、来週からも来ないか。というか、もう二週間居てくれないか」
「いえ、そろそろ大学に戻らないと、ゼミの教授に名前をわすれられてしまうので」
「そうか、このままうちの会社に欲しかったんだがな。M大の地理学なら大歓迎だ」
「え、ぼくは独逸文学ですよ」
どうやら、監督に大きい手が入ったらしい。
饒舌になっている。
というか、赤ウーピンを切ってくるのだ。かなりの手だろう。
リーチをかけてこないところをみると、マンズの一色か。
丸尾は、北、白と切り出して、西待ちの国士無双をテンパイしてしまった。
「怖いときには突っ込め!! リーチ!!」
最初のコメントを投稿しよう!