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校内で小野君に刃向かう人間は誰もいない。
3年の先輩達も小野君には一目置いているらしい。
っていうのは、この学校に転校してきた当初、クラスメイトから聞かされた。
だからこそ、そんな彼がなぜあたしに告白したのか、今でも不思議でしょうがない。
とくに可愛いわけでもなく、目立つわけでもなく、スタイルがいいわけでもない。
そんなあたしを彼が選んだ理由は、ただ一つ。
いいパシリに使えると思ったからだろう。
そう考えると少しだけ悲しいけど、あたしの役割は小野君のパシリだけじゃない。
だって、小野君はなんだかんだいって、いつもあたしの傍にいてくれる。
「お前って、なんでそんなに鈍くさいんだよ」
プリントを職員室まで運ぶ途中、何の障害物もない廊下で派手に転んだ時、小野君はスーパーマンみたいに突然あたしの前に現れた。
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