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学校に着き席に座ると、どんっと後ろからの突撃にあった。
「おっはよー!幸斗!今日の古典、予習してきたー??」
突撃してきたのは大樹だった。
高校に入ってからできた友人で、1年のときもクラスが一緒だったから、今年で2年目になる。
大樹は期待に目をきらきら輝かせ、僕を見てくる。
ほぼ毎日のことだから、もう慣れてしまったが。
「…いちおうね。」
そう言ってぽいっとノートを渡す。
「おっ、さんきゅー!さっすが幸斗!」
大樹はスキップしながら帰って行く。
おかしなやつ。
きっとやつは毎日が楽しいんだろうな。そんな気がした。
ホームルームの前の暇な時間。
荷物を整理し終えると、携帯にメールの着信があった。
咲(さき)からだ。
゙―愛してるから゙
携帯に向けてそう言った咲の声が思い出される。
あれは、誰に言った言葉??
どうしてあんな言葉を??
悩んでも仕方がない。
きっと彼女にとって僕は予備にすぎないんだから。
『ゆき、ごめん。電話してたら時間だって気がつかなくって…💦今日も会えますか??』
…ふーん。
電話の内容の弁解はないわけだ。
ま、僕も放置しちゃったから相殺か。
いいよ、という内容のメールを返し、深くため息をつく。
「おーい幸斗??ため息なんかついて、どうしたねん??」
大樹がノートを持って机の前に立った。
「写すの速いな」
「なれてますからー」
ありがと、と言ってノートを返す。
そしてにやにや笑いで当たってるようで当たってないことを言う。
「何かあった??あ、彼女のこととか??」
華の高校2年生。そんな話題なら有り余っている。
しかし、
「まさか。」
鼻で笑って大樹を一蹴する。
僕と咲の関係は秘密だし、僕がどんな風に思おうと、咲は彼女じゃない。
付き合おうなんて言ったことも、言われたこともない。
「つまんねえのー。」
「そういう大樹はどんな??」
大樹には付き合って3年の彼女がいる。
高校は別々らしいから、本物は見たことないが、写真は見た。
咲とは正反対の、おとなしそうな、可愛い子だった。
「えっへへー。なに、話聞きたい聞きたい??」
「やめとく」
大樹、にやけすぎて目がなくなってるぞ。
僕は断った。
大樹がけちーと言うと、それをかきけすかのように始業のチャイムが鳴った。
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