1章

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学校に着き席に座ると、どんっと後ろからの突撃にあった。 「おっはよー!幸斗!今日の古典、予習してきたー??」 突撃してきたのは大樹だった。 高校に入ってからできた友人で、1年のときもクラスが一緒だったから、今年で2年目になる。 大樹は期待に目をきらきら輝かせ、僕を見てくる。 ほぼ毎日のことだから、もう慣れてしまったが。 「…いちおうね。」 そう言ってぽいっとノートを渡す。 「おっ、さんきゅー!さっすが幸斗!」 大樹はスキップしながら帰って行く。 おかしなやつ。 きっとやつは毎日が楽しいんだろうな。そんな気がした。 ホームルームの前の暇な時間。 荷物を整理し終えると、携帯にメールの着信があった。 咲(さき)からだ。 ゙―愛してるから゙ 携帯に向けてそう言った咲の声が思い出される。 あれは、誰に言った言葉?? どうしてあんな言葉を?? 悩んでも仕方がない。 きっと彼女にとって僕は予備にすぎないんだから。 『ゆき、ごめん。電話してたら時間だって気がつかなくって…💦今日も会えますか??』 …ふーん。 電話の内容の弁解はないわけだ。 ま、僕も放置しちゃったから相殺か。 いいよ、という内容のメールを返し、深くため息をつく。 「おーい幸斗??ため息なんかついて、どうしたねん??」 大樹がノートを持って机の前に立った。 「写すの速いな」 「なれてますからー」 ありがと、と言ってノートを返す。 そしてにやにや笑いで当たってるようで当たってないことを言う。 「何かあった??あ、彼女のこととか??」 華の高校2年生。そんな話題なら有り余っている。 しかし、 「まさか。」 鼻で笑って大樹を一蹴する。 僕と咲の関係は秘密だし、僕がどんな風に思おうと、咲は彼女じゃない。 付き合おうなんて言ったことも、言われたこともない。 「つまんねえのー。」 「そういう大樹はどんな??」 大樹には付き合って3年の彼女がいる。 高校は別々らしいから、本物は見たことないが、写真は見た。 咲とは正反対の、おとなしそうな、可愛い子だった。 「えっへへー。なに、話聞きたい聞きたい??」 「やめとく」 大樹、にやけすぎて目がなくなってるぞ。 僕は断った。 大樹がけちーと言うと、それをかきけすかのように始業のチャイムが鳴った。
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