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「そういえば、どうして日陰に隠れてまで日中に行動してるんですか?」
「……。」
「そんな明らかに嫌そうな顔しないでください。」
「俺に本能剥き出しにしろと?絶対に嫌だからな!」
「……ごめんなさい。」
「……でもせっかくだし、試してみようかな。
この白衣でどれくらい日光に耐えられるか!」
「……え?」
「だって吸血鬼の俺が着てる白衣だぜ?まさかただものな訳ないだろ?実はこれ、日光の影響を軽減する魔力が入ってんだよね。」
「……だからってそれ、ほとんど自殺行為じゃ……」
「やってみないとわかんないだろ?万が一ダメだったら日陰にでも運んでくれれば大丈夫だから。」
「結局私が損なだけじゃ……?」
そして1時間。現在に至る。
青年は眩しそうにしているものの、ある意味瀬里奈より元気そうだった。
「あの……、帰りません?」
「ん?心配してるのか?」
「それはっ……そうですけど……。」
瀬里奈は改めて自分の状況を確認する。
「だって……、こんなにくっついて男女が二人で歩いてたりしたら……。」
「考えすぎだよ。」
「もうっ!……こんなとこ友達に見られたら……。」
もちろん青年が言い出したこの訳のわからない挑戦に協力してしまったのは自分なのだが……。
特に目的もなく街中をぶらつくだけ。それだけなのだが、時間が経つにつれ、瀬里奈の心臓の高鳴りは激しさを増していった。
(……ざっと1時間か……。耐えられなくはないがちょっときついかな……。)
「ああもう!すみません、私が限界です!帰りましょう!!」
「仕方ないなぁ……。」
顔を真っ赤にした瀬里奈に負けて、ついに青年が折れた。
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