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しかし、いつもの場所に帰り着いたところでそれは起こった。
「……すみません、私が付き合うって言ったのに……、でも、二度とやらないでくださいね!?」
「わかったわかった。さすがに俺もふざけすぎた……、おっ……?」
最後まで言い終える前に青年の身体がバランスを失い、前へ倒れこんだ。
「ちょ、ちょっと!?」
瀬里奈が間一髪青年の身体を支えた。
「大丈夫ですか!?」
「……」
返事は声にならない。代わりに荒れた息遣いが聞こえた。
「もう……!手間かけさせないでくださいよ……!」
ひとまず青年を安定したところに運び、様子を見た。
(このままで大丈夫かな……?……一応何か……、そうだ!)
瀬里奈は鞄から筆入れを取り出し、中を漁った。
(あっ、私って用意いい!)
取り出したのはカッター。
そして指先を軽く切り、その血を青年に与えた。
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