第2章

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「それでは、試合を始めるので、両者構えて!」 二人の準備が整ったと見て、マツリがそういった。 マツリのその言葉と同時に、イフリートは少し前傾姿勢で、これから走り出すような格好をし、対して諒は、特に何の構えもとらない。 「それでは、試合開始!」 つかの間に訪れた静寂を、マツリのその言葉が破った。 その瞬間、イフリートが弾丸のようなスピードで突っ込む。 イフリートの突進を、しかし諒は、少し右にずれてすれ違い様にパンチ、つまるところカウンターを決めにいった。 だがイフリートは、それを当たる寸前に、そのまま後ろに後退するという慣性を無視した動きで避け、両者の立ち位置は、元に戻った。 この間、約1秒。 マツリがぎりぎり追える速度であった。
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