すべての始まり。

10/11
前へ
/15ページ
次へ
主治医がどんな話をしたのか,私は覚えていない。 次々と繰り出される,非日常の言葉に,私の脳みそはエラーとなったまま,動かなくなっていた。 覚えているのは,真っ白な床と壁と天井。 ホワイトボードと主治医の白衣。 木目の長机や青いパイプ椅子もあったはずなのに,こびりつく記憶は,ただただ白い。 今まで見たことのないほど,強張った顔の家族。 きっと私も同じ顔をしていたんだろう。 病院からの帰り道,家族とどんな話をしたのか,自分はどんな気持ちだったのか‥何も思い出せない。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加