異世界マディへ

5/10

8763人が本棚に入れています
本棚に追加
/279ページ
「あぁそうそう。魔力を吸収した感覚覚えてる?」 「覚えてるけど、それが?」 沢山パワースポットを回ったから、感覚はよく覚えている。 「魔法使うときはその吸収する感覚の逆で、外に出す感じでね。まぁ知識に魔法の使い方とマディの基本的な常識は入れとくから。 あと、固有属性は流石に全部使えないから、使える人の血を摂取すれば使えるようになるよ。」 「血を摂取すれば、ね。」 吸血鬼の力のせいかな? まぁそんな機会はあまりないだろうし、別に気にしなくていいか。 「それじゃあ今から門を創るから。その門を潜ればマディだから。」 「小野宮蓮。我を退屈させるなよ?」 ルノアさん・・・それは俺の行動を逐一監視してるということでしょうか? 「・・・善処します。」 「まぁ我の息子として、吸血鬼の誇りに泥を塗る真似だけはするではないぞ?」 息子という言葉に思わず、体と思考が止まる。 「・・・む、息子?」 「我の血を与えた者は我の息子だ。異論は認めんぞ。」 「いや、ありがとう。」 「ん?別に感謝されることはしていない筈じゃが。寧ろ普通ならこちらが謝るべきところじゃろうな。まぁ謝らんがの。」 ・・・一応常識はあったんだ。 ていうかやっぱり謝る選択肢はないのか。 「俺は親が物心つく前に死んだらしくて、親と呼べる人が居なかったから。なんか嬉しくてね。」 「ふん。なら今からは我がお主の母親じゃな。」 「蓮君。門が出来たよ。」 シンに呼ばれ振り返ると、そこにはてっぺんが見えない程大きな門があった。 「何度見ても大きいのぉ。」 隣でルノアさんが感嘆の声をあげる。 「それじゃあ今開けるからすぐに潜ってね?」 「了解。それじゃあルノアさん行ってきます。」 ルノアさんにお辞儀をしてから門に向かって歩いていく。 「おぉ。存分に楽しんでくるがよい。」 ルノアさんの言葉を聞いた瞬間。 俺は光に包まれた。
/279ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8763人が本棚に入れています
本棚に追加