異世界マディへ

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「で、でも・・・」 栗毛の娘はまだ何か言いたそうだ。 「ルル!もう行こう。また魔物に遭ったら大変でしょ!」 栗毛はルルっていうのか。 にしても早く行かないかな? さっさとあの狼を回収したいんだけどな。 「そ、その。」 「ん?」 考え事をしていたら、いつの間にかルルという娘が目の前に立っていた。 「あ、あの、このご恩は決して忘れません。いつかお礼をさせて下さい。」 出来れば忘れてほしいんだけどな・・・。 ルルはそれだけ言うと、先に歩いているリリーの跡を追って走っていった。 「面倒なことになんなきゃいいけど。 ・・・回収するか。」 さてと、この狼をどうしようかな。 街に解体してくれる店があるといいんだけど。 その前にどうやって運ぼうか。 なんか丁度いい魔法ないかな~。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・知識を検索中・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「空間属性か・・・使えそうだな。」 空間属性は空間に働きかける魔法で、一つの閉鎖された空間の広さを変えたり、他次元に違う空間を作ったりできる魔法だ。 「虚空が使えそうだな。」 虚空は他次元に時間の止まっている収納空間を作り出す魔法。 原則として生命活動をしている物は収納できないようになっている。 因みに空間属性を使える人は少ない。 「時の止まりし空間よ 虚ろな空間よ 今ここにその存在を示せ 『虚空』」 詠唱し終わると目の前の空間に黒い穴が現れた。 「魔法ってすげー。今更って感じだけど。」 いつまでも感心してる訳にもいかないので、狼の魔物の死体を虚空に適当に放り込んでおいた。 時間が止まってるみたいだし、腐ることはないだろう。 一応血を操って血抜きだけはしておいた。
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