守護する森

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「とりあえず周辺には魔物はいないな。」 魔力探知で探索したが、引っかかる魔力は一つもなかった。 ルナウルフは夜行性のため、巣を見つけ出したほうが効率は良さそうだ。 「巣ってなるとやっぱり森の中だよな・・・。」 ドゥ・ヴェルデンヴァーデンの入口に視線を向ける。 「守護する森・・・何を守護してるかは知らないけど、調べたら面白そうだな。 とりあえずは入ってみるか!」 そんな軽い気持ちで、通称『迷いの森』に足を踏み入れる。 中は木々が生い茂っており少し暗い。 しばらく獣道を進むと大きな湖に出た。 「やっぱり水があったか、にしても綺麗な水だな。」 湖の水はとても透き通っており、底がはっきりと見えるほどの透明度だ。 「この辺りを散策するか、水場の近くに巣もあるだろ。」 魔力探知をしながら辺りを歩く。 すると近くにそれなりに大きな魔力が2つ。 「ルナウルフかな?まぁとりあえず行ってみるか。」 気配を出来るだけ消しながら、魔力の感じた方向に慎重に向かう。 「・・・・・・いた。」 やはりルナウルフだったらしく、食事中のルナウルフの番がいた。 「奇襲で先に片方をしとめようかな。 血属性でも使ってみるか。」 まだ実践では一度も使ってない血属性。 指を噛み切りそこから出る血を操り、血の鎌を作り出す。 見た目は真っ赤な鎌で、指の辺りで繋がっているから鎖のついた鎌のように見える。 「よし。これを片方のルナウルフに―――」 その鎌を空中に静止させ、ルナウルフの様子を窺う。 「―――今だ!」 鎌を勢いよくルナウルフに放つ。 ――!? ウォォーン! 一匹はすぐに気付き回避したが、もう一匹は回避出来なかったようで、血の鎌が横腹に深々と刺さっている。 グルルル! 生き残ったルナウルフが威嚇しているが、もう手遅れだ。 キャン!? 足元を黒いものに掴まれ、宙吊りにされるルナウルフ。 これは俺の影で、前もって遠回りさせて相手の背後に用意させておいたのだ。 「・・・ごめんな。」 一言謝ってから、苦しまないようで額に素早く鎌を突き刺す。
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