8763人が本棚に入れています
本棚に追加
「あと一時間ぐらいで日が暮れるのか。」
別に日が暮れようと、吸血鬼は夜目がきくため暗かろうが関係ないのだけれど、夜行性の魔物が出てくるのは面倒だ。
「暗くなったら適当に野宿でもするかな。」
暗くなるまでは活動することに決め、次にどっちに行くか考える。
「そういや、まだ不思議な魔力の原因を突き止めてないな・・・。
魔力の濃い方角に進めば着くかな?」
魔力探知で不思議な感じの魔力の濃い方角を見極める。
「・・・・・・こっちか。日が暮れる前には着きたいな。
しょうがない走っていくかな。」
足に部分魔装を施し、魔力の濃い方角にひたすら全力で走る。
走っていくと、どんどん魔力が濃くなっていくのが分かる。
それから辺りが暗くなるまで走り続けて、不意に立ち止まる。
「ありゃ?なんか囲まれてる?」
周りの気配を探ると、前方に二つ、後方に三つ、右と左に一つずつ。
魔物かと思ったが、この視線は人独特の纏わりつくような視線だ。
種族が人間かは知らないが、とりあえず魔物ではなさそうだが、囲む意味が分からない。
俺が何かしたか?
勿論盗賊という可能性も大だ。
「えーと。とりあえず出てきてくれない?」
対処方法も分からないので、とにかく話しかけてみることに。
だが、一向に出てこない。
周りの魔力の震えから、念話か何かをしているようだが、なかなか出てくる気配がない。
いっそのこと、こちらから近づこうかと考えていると、漸く前方から二人が歩いてきた。
「お前は人間だな?」
出てきて早々相手の一人が質問を投げかけてきた。
最初のコメントを投稿しよう!