エルフの隠れ里

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そして次の日―――。 「たぶん戻ってはこないから。1日泊めてもらってどうも。」 「まぁこちらが一方的に連れてきただけだからな。別にお礼の必要はない。」 「とにかくエルシア様に無礼のないようにねぇ。」 里の出口まで見送りしてもらい、各々に別れを告げる。 「それじゃあ行ってくる。」 そう最後に一言言ってから出口の門を潜る。 門を潜った先には、昨日と同じように大きな木があり、相変わらずの森が目の前に広がっていた。 「さて、行きますか。」 それから御神木を目指し、神力を探知しながら北東を目指す。 「・・・遠い。疲れた。」 何時間歩いただろうか? それなりの距離を採取しながら歩いたが、魔物に何度も襲われるやで大変な目にあった。 「というより、この森はどんだけ広いんだ?」 後から調べたのだが、なんとこの森は北海道の半分程の面積があるとのこと。 毎年行方不明者が出るのも納得の広さだ。 それからも愚痴を言いながらも、着実に御神木に向かって歩みを進める。 それから更に5時間歩くと、ようやく神力をはっきり探知できる距離までたどり着いた。 「もう少しこっちか。・・・やっと着く。」 方角を確かめながら、神力を辿って歩く。 「これが御神木?」 やっと御神木に辿り着いたのだが、 「世界樹だよな?」 なんと御神木と思って目指していたのは世界樹だったようだ。 こちらの世界に来たときの世界樹とは別物だが、大きさは1.5倍近くある。 「というより世界樹だから誰も見えなかったのか。」 世界樹は神力が無ければ見えない。 そりゃ見えない筈だ。 「相変わらず世界樹はデカいな。」 そう呟きながら世界樹の巨大な根に触れる。 ――よくぞ来てくれました。 ――血と影を司る神の息子よ。 いきなり頭に女性の声が響いてきた。 シンとの会話と同じ感覚なので、この声の主がエルシア様なのだろうか?
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