星空の街。

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星空を見ている二人。 周りには明かりも無い。 街の光が星みたいで、 「…キレイ。 向こう側に星の海が広がってるみたい」 そう錯覚した。 「ここ、何時に来ても景色がいいんだ。 一日中見てても飽きないよ」 その言葉にふと疑問。 「キミの家、ここの近く?」 「そ。歩いて五分かからないかな」 お互いに空でも地面でもなく、 向こう側の境界に見惚れていた。 会話も無く、ただ、ずっと見ていた。 気付けば自然と手を重ねていた。 どちらからでも無く、自然と。 キミも私もお互いに顔を見合わせて、 何も考えずに照れて笑った。 キミの顔が近付く。 ゆっくり、ゆっくり。 私は目をつぶった。 次の行動がわかったから。 その後のことも。 想像した通り、唇が重なる。 そのまま寝かされた。 「…ねえ、」 その後の言葉を待たないまま、 「いいよ、私、キミのこと好きだし」 と応えた。 これじゃ、遊び人だな、 って思ったけど、それでもいいかな。 「…ただ、…、あの…、その…、アレ、 ……持ってる?」 …コレ言うのすっごい恥ずかしい…。 でも、うん、まあ、…ね。 彼もソレに気付く。 「…あ、…ちょっと、待っ、て、 確かアイツが一昨日…、 財布の中に、…あ、あった」 その慌てる様子を見て、 「ぷっ、あはは」 ちょっと笑ってしまった。 「…なんスか…」 彼は照れてるのを隠して、不機嫌に睨む。 「いや、かわいいなーって?」 顔を真っ赤にして照れてる。 表情だけは不機嫌にして。 愛しいと想った。 「キミ、好きだなー。 今日だけの知り合いだけど、 すごい好き」 「うるさい」 照れながらまた、唇を重ねる。 そして私は星を見上げて、 キミと体を重ねた。 まるで、動物のように。 他人の体温を求める子供のように。 嬉しかった。 それがもう終わるとしても。
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