星の街の夜明け。

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「お疲れ様でしたー」 ふぅー、やっと終わったー。 今日も楽しかったなー。 あのカップル、仲直りしたかな? 多分大丈夫だろうけどさ。 …高校生、か。 あの人はもう卒業? あー、よくわかんないなー。 まあ、もう逢うこともない、か。 あれ以来、恋してないな。 私の中でまだ続いてるのかな? どこかで踏ん切りつけなきゃ。 街を歩く。 夕暮れがキレイだ。 この街はまた星の海になる。 あの丘の景色は変わってないかな? それとも変わっちゃったかな? 変わってないといいな。 いつかまた見に行こう。 変わってないと、いいな…。 ふと目に飛び込んだポスター。 絵画展? 絵画の新星、高校生天才画家。 そんなアオリ文。 ポスター自体はシンプル。 代表作なんだろう。 夕焼けの絵が載ってる。 「…あれ?」 この絵、どっかで見たような…。 「…………………、………………っ!」 彼の絵だ。 ちゃんとは見てないし、 ただの下書きだったけど覚えてる! これは彼の絵だ! ちゃんと夢叶ったのかな? でもイラストレーターって…。 とある雑誌のイラストから、 本格的な油絵までの作品、三十点。 …夢、叶ったんだ。 そうだ、見に行こう。 たくさんの花を持って、 作者宛に、って見に行こう。 いつまでだろう? よかった。 次の休みはまだやってる。 決まり。 次の休みの日に必ず、行こう。 それで踏ん切りがつけばいい。 彼はもう手が届かない場所にいるって、 思い込みでいい、 諦めたふりでもいい、 そう思えればいい。 時間はあっと言う間に過ぎていく。
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