一夜恋物語。

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さらに奥へ進むと、 また目立つ絵があった。 なんの変哲も無い街並み。 その真ん中に、 女の子の後ろ姿が描かれてる。 コレって、もしかして連作? さっきの絵と繋がってる? タイトルは、[背中]。 また進むと、また。 今度は、[日溜まりのカフェ]。 日の当たる喫茶店の絵。 わかった。 コレって、でも、まさか。 次は、[車内から]。 車の中から見た、過ぎていく街並み。 嘘…。 嘘だよ。 いつの間にか小走りになっていた。 胸が苦しくて、切なくて、 息が止まるかと思った。 だって、そんな…。 そして確信する。 この絵は…。 [黄昏の丘] 黄金色に輝く丘の絵。 二人の姿がある。 一人は何かをしていて、 もう一人はそれを見ている。 コレって、私、達…? …あの日のあの丘だよね…。 私はふらふらと進んだ。 その奥に、もう一枚。 どんな絵なのか、 見る前にわかってしまった。 これがあの日なら、きっと。 境界線は曖昧に、丘の街並みと星空。 題名[星空の街] …やっぱり。 ずるいよ。 ずるい。 あーあ。 ちょっと泣きそう。 でもなんか、うん。 そのまま、出口に向かった。 後悔、じゃないけど、 少しだけ、悲しい。 ビルの外に出たとき、 とうとう涙が流れた。 流れちゃった。 何もかも流れてしまいそうで、 我慢してたのに。 「…ああ、終わっちゃった」 何が終わったんだろう? 個展?それとも? 終わっちゃったのは、私の恋? よくわかんないよ。 でも確かに、何かが終わっちゃったんだ。
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