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村にたどり着いたものの、蟹の家がどこだか分からない。
ちょっとそこらの住人に聞いてみようか。
「すいません、蟹さんの家はどちらに───」
「!…お前はっ!!」
「ッ!?」
いきなり、殴られた。
左の頬に強烈な痛みが走る。
「今さら蟹さんに何の用だ!」
騒ぎを聞きつけ、住民が集まって来る。
「蟹さんの仇だっ!」
「痛っ!」
住民たちが、次々に石を投げつけてくる。
そうだった。俺はここの住民に嫌われているんだった───おかしな話だが、蟹の家を見つけるのに夢中で、すっかり忘れていた。
「何をしに来た!帰れ!!」
「……嫌だ。」
石が俺に当たる。苦痛に顔を歪めながらも、俺は足を止めない。
「お前自分が何をしたのか分かっているのか!?」
「分かってるさ……それでも行かなくちゃ行けないんだ…!」
小さい子供までもが石を投げつける。
時折かなり大きな石も飛んでくる。体の至るところから血が滲む。
それでも俺は歩く。ただひたすら、蟹の家を目指して。
「……勝手にするがいい。たどり着いた所で、あの家には既に───」
さすがに疲れたのか、住民たちの攻撃が止む。
目の前には、蟹の家があった。
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