猿蟹合戦

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「……え……?」 「大丈夫ですか!?今すぐ手当てします!」 「何で………」 何で……あなたが……? 「何でって…あなたが心配だから!他に理由なんて無いです!」 「でも蟹さん…あなたけがしてるじゃないですか!まだ寝ていなきゃ…わっ!?」 「それはお互い様です!」 そう言って蟹さんは半ば強引に俺の手当てを始める。 どうやら、目が覚めた蟹さんは、周りの反対を無視して、急いでここまで来たらしい。 まさか………俺のために? 「……それにしても酷いわ……あの方達、私が寝ている間にこんな…」 「いえ、僕はあなたにあんな事をしたんだ、当然の報いです。」 「そんな!でもあれは…わざとでは無いのでしょう?」 「どうしてそう思うのです?それに……もう僕はあなたに二回も命を救われた。どうして、こうも僕に良くしてくれるのです?」 本当に不思議だった。 俺がどんなにあなたに尽くそうとしても、叶わないのに。むしろ傷つけているだけなのに。 どうしてあなたはそんな俺を助けてくれる? どうして俺の乾いた時間を潤してくれる? どうして、どうして俺を、冷たい哀しみの淵から救い出してくれる?!
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