猿蟹合戦

3/15
前へ
/15ページ
次へ
まさか飢餓によって人生の幕を閉じようとは… 死を覚悟した……その時。 道の向こうから、一匹の…あれは…蟹だろうか。大きな蟹が、歩いてきたのだ。 しかし、俺が注目したのは、蟹が手に持っていた物だった。 その蟹の体の半分程もあろうかという大きなおにぎりを、蟹は持って歩いていた。 そして、俺は、 「蟹さん、そのおにぎりを、僕にくれないかい?」 考えるよりも先に、言葉が出ていた。 相手を警戒させないようにか、自分でもびっくりするような明るいトーンで話掛けていた。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加