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あれから年月が過ぎた。
あのあと俺はなんとか食い繋ぎ、今では安定した餌場も見つけた。
あの蟹は命の恩人だ。なんとかしてお礼がしたい。ずっとそう思ってきた。
村に行って、蟹を探そうとも思ったが、村の連中とは上手くいかず、よそ者扱いされた。
どうやら、おにぎりと柿の種を交換したことで、俺は、蟹を騙した卑怯者になっているようだ。
それでも、俺はあの蟹にお礼がしたかった。
そんな時、一つの噂を聞いた。どうやら、俺があげたあの柿の種が、なんと成長し、実をつけたらしい。
あんな柿の種でも、蟹の利益になって、俺は嬉しかった。
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