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そうだ。きっとあの蟹は柿の実っている所には届かないだろうから、俺が収穫して、蟹に届けてあげよう。
些細な事だが、少しでも恩返しになるだろう。
俺は決意し、柿の木を目指した。
─────────
「あら、あなたは確か─」
「こんにちは、蟹さん。お久しぶりです。何年ぶりでしょうか。あの時は本当に助かりま──」
「あの時の猿さんね!あなたのくれた柿の種、こんなに立派に育ったのよ!どうもありがとう!」
お礼を言おうと思ったのだが、逆に感謝されてしまった。本当に感謝するべきは、俺の方なのに。
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