猿蟹合戦

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お礼の言葉を遮られ、バツの悪くなった俺は、早速恩返しを始める事にした。 「蟹さん、僕が柿を取ってきて差し上げましょう。」 「本当?ちょうど届かなくて困っていた所なの。助かるわ。」 俺は木に登り、柿を物色する。 渋柿だったらいけないな。そう思って、柿を一つ手に取り、かじる。 甘い。これなら、大丈夫そうだ。 「お味はどうですか~!?」 「大丈夫、ちゃ~んと甘い柿がなってますよ~!」 さて、収穫しよう。 と、思った時、一つの青柿が目に入る。 まだ青柿だと言うのに、虫に食い付かれている。 このまま放っておけば、他の柿に被害に遭うかも知れない。 俺はその固くて青い柿を、後ろへ放り投げた。 ……俺はこの行為を、後に後悔する事になる。 それも、自分を殺したくなる程に。 バキリ。 嫌な音がした。
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