はじめての、

9/10
前へ
/44ページ
次へ
「ちょっ!!なに考えてるんですか!私帰りますっ!」 青くなって、男の手を払おうとするがビクともしない。 その代わりに強くひきよせられ、耳元で囁かれた。 「結チャンなに純情ぶってんの?男とっかえひっかえしてるんデショ?友達から聞いたよ。その中に俺も入れてよ。」 ニコッと男が笑う。 笑っていたが、怖かった。 「ほら、行くよ?」 「やっ…、やだぁ…」 嫌だ、やだっ、初めては、ほんとに好きな人とって思ってたのにっ…! 好きなひと…? 私には好きな人なんてできない。 できても、きっと私なんか好きになってくれない…。 嘘だらけの私なんか……………。 だったらいっそどうにでもなっちゃえばいいのかな。 抵抗を止めた結の目からは何故か涙が零れていた。
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加