いつわりの、

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「ゆいーっ、おはよー!!」 ここは結の通う星南(セイナン)高校。 結がⅡーAの教室に入ろうと扉に手をかけた時、後ろからポンッと肩を叩かれた。 「あっ、美咲、おはよう。」 美咲は結と同じクラス。そして結が行動を共にする同じグループの子。 「ゆいっ、どしたのー?なんか暗くね?あっ、まさかこの前のナンパ男もうフったとか?」 いきなり核心をつかれ、動揺するのを必死で抑えながら答えた。 「まあね、あの男つまんなかったし、今朝、フッちゃった。」 私がそう言うと、美咲はパーマのかかった髪を指でくるくるしながらニヤニヤと笑った。 「けっこーかっこよかったのにもったいないよー、ま、モテる女は違うってことかー。」 そう言うと美咲はさっさと教室に入り、今の話を友達にしている。 ━━モテる女、か。なんか嫌な響き。 悪意はないのだろうけど。 と、いうか、ないと信じたい。
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