空気銃

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 その日はとても暑い日で、聡は買って貰ったばかりのエアガンを持って近所の公園へと足を運んでいた。 それが数十分前の事である。現在、聡は公園内で一番大きな木の前で立ち尽くしている。  聡は弱々しく胸を上下させている雀を見下ろし、手に持っていたそれをぼとりと落とした。 「うぁ…」 夏独特のむせ返るような空気とは違った理由で汗が吹き出し、頬を滑り落ちて乾いた地面に染みを残す。 遠くに聞こえる蝉の鳴き声や木陰で涼む猫が、別世界の事のように感じた。  当てるつもりも、当たる自信もこれっぽっちも有りはしなかったのに弾は見るも無惨な様子で羽根にのめり込んでおり、バタバタともがく雀は、聡の罪悪感を募らせるには充分な程に憐れな姿をしている。   チチッ 聡は不意に小さく鳴いた雀によって我に返った。 「…あ。」 数歩駆け寄り、両手を使ってゆっくりとそれを掬い上げる。 「ごめん、な。」 落とさないように。だけれど出来るだけ急ぎ足で、数百メートル離れた動物病院へと足を向けた。 公園の入口まで走って来たところで、唐突に落としてしまったままの新しいエアガンを思い出し、迷うように首だけで振り向いた先には真新しいそれが地面に転がっている。
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