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空を浮遊する昆虫を模した形の大きな自動生命捕縛機械が、無機質な瞳で列に並ぶ人々を見下ろしている。
アメリカ軍が次の大戦に向け日本の企業と開発を進めていた機械。
被災地に於いては人命救助の先頭に立ち、ゲリラやテロリストに対しては問答無用で捕縛する万能の機械。
プラズマを発することで最新鋭の機械からアナログの機械まで仕様不能と化する化け物のような機械であった。
大手検索サイトとSNSの巨大合同プロジェクトの発表の日に静かに世に出ていたのだ。
しかし、影に隠れ現れた化け物はまだこの時点ではプロジェクトに関わることも無かったし、その大きさも人のサイズ程もなかった。
理想郷を目指した資産家ピロミ、機械工学からインターネットの世界に精通した佐多博士。
莫大な資金と世界最高峰の知能の前に、軍の最新機械は為す術もなく彼らの手に落ちた。
『深い眠りの中で生き続ける世界――』
それは、未だ解明されていなかった脳の7割に対して独自の理論を打ち立てたドクター・マルムスの研究を、囚人達を使い実証した結果として"可能"だったのだ。
人が創造・想像する力。
想像する時、脳は内部でエネルギーを生産していた。そのエネルギーは従来の計測器では測れるものではなく、特殊な計器でしか見ることの出来ないものだった。
そしてそのエネルギーの特性として、他人同士から抽出したエネルギーは混ぜ合わせると2乗の量となり、更にその電気信号・パターンはインターネットを構築する記号・配列と極めて似ていたのだ。
ここに一つの仮説が立てられた。
『人の脳はインターネットに直結出来るのではないか?』
と.
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