焦がすから

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ルトは黙ってキッチンにたった。 だから僕はだまって見ていた 「昨日も今日も明日から先も私は君を追いかけ回しますよ」 鍋をグルグルかき混ぜながらこっちも見ずに彼は言った。 「なんでそんな事をするの?」 僕は洋食レストランのようないい匂いがする喜びがルトにばれないように体育座りした太もも内側にしまい込んだ。 「君が私を裏切ったからでしょ?」ルトは優しい声で言っていた。 「怒っているの?」 ルトは「いいえ。まったく。」といった。顔も柔らかい笑顔だった。 「君はまた生き延びましたね。」頭を撫でるルトは大好きだ。 「あのシェリスさえいなければ貴方はとっくに安らかに死ねているのに。」 僕は部屋の隅に気怠そうに立つシェリスを見た。ルトは艶々した肌と綺麗な顔立ちなのに、シェリスときたらだらしない長髪とバサバサのヒゲ。僕はルトの方が好きだ。 「お前にこの子は殺させない。」シェリスは苦しそうな呼吸と共に弱々しく言葉を吐いた。 「ご老体もお辛いものですね。」ルトはグルグル鍋をかき混ぜながら少し笑っていた。
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