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「できなかった訳ね。」
コクンと、薫が小さくうなずく。
二人が話をしている間にもカタンッ、カタンッ、音が途切れることはない。
ちなみに、薫がいま練習しているのは一番基本の技、その名も『ノーマル』だ。
親指の上を回す有名なヤツだ。
「だあぁ~。できない…。」
「う~ん…。惜しいんだけどねぇ~。」
「そう!惜しいんだよ!!だからコツを教えて。」
「うわっ!上目使いとかずるいよ、くぅ!こんな可愛く言われたら断れないし!!」
「今日の私は本気だかんね!」
(くぅの上目使いとか滅多に見れないぞ。ちょっとラッキー!)
こんなことを考える葵は、笑顔をこぼしながら教える体勢に入った。
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