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書き上げた作品を手にとると、
悲しみの色に染まって見えた。
これは、作品ではない。
ただの彼女の人生そのものだった。
しかし、現実的ではとてもなかった。
気がついたら挿し絵として書いた赤色に染まったテディベアが近づいてくる気がした。
「お前は、何を感じた?」
テディベアがしゃべりかけてくる。
「悲しみ。それはそれは大きな」
「そうか。悲しみか」
テディベアが少し笑った気がした。
そして、テディベアは続けた。
「感じるのか?私と同じ血に染まったものが」
「あぁ、感じる。私は、まだ血に染まってない!!」
「いいや、染まっている。色濃くその手にな」
「そんな、わけない!!」
ばたん、本を閉じた。
声は消えた。
疲れてるのかな……
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