ある作家の話

3/3
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
私は、一冊の本が着飾った連中に評価され生きている。 その奴らが周りを歩くと嫌な匂いがする。 それは奴らの香水だ。 彼らは、働く人間の血や汗や涙をあのような物に変えている。 「何なんだよ……」 なんて赤色の街なんだ。 まだ空は、青いのに。 結局、着飾った連中は真っ赤に染まって見えた。 結果、何にもないか。 はぁ、どうしようまだ行列から出たくない。 家に向かう。 「誰か!!そいつを取っ捕まえてくれ!!」 小太りの真っ赤なパン屋が走ってくる。 そして、パンを持った少女は、こっちに来る。 まだ私は血に染まってない? いいや、染まってる。 だが、まだ助けたい気持ちがある。 「待ってください。か…金は払います。だから、許してやってください」 やつは、なめ回すようにこっちをみる。 「あぁ、いいよ」 金を渡すと元に戻った。 「ありがとう……」 彼女は、何か言いたげだった。 「おうちの人は?」 彼女は、首を横に振った。 まぁ、一回家に連れてくか…… 「あの話してくれない?君のこと……」 私は、まだ血に染まってない? 連れていかれた人々。 もくもくと煙があがっている工場。 汚くなった川。 そして、着飾った連中。 私は、どっちだ?
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!