終わりの始まり

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辺境の寂れた小さな村。 いや、寂れたという形容ですら生易しい。民家のほとんどが半世紀に及ぶ時の経過すら感じさせる程に朽ち果てていた。 より適した言葉を当てはめるならば、廃村。 通称――最果ての村。 こんな荒廃した村のさらに辺境の民家に、年の割には大人びた少年と、年の割には幼い少女が一緒に住んでいた。 この村唯一の住民だ。 二人の周囲にジャンクが山を作っていた。村近くのゴミ砂漠からかき集めた、使えそうなものの山だ。 電子機器の回路らしきものや、何かの車輪。首のもげたマネキンや、ボトルのようなものと千差万別。混沌としていた。 部屋中が鼻をつく腐敗臭で充満していたが、二人にとっては嗅ぎ慣れた臭いだった。苦にもならなかった。 少女はジャンクの山から使えそうな物を漁っては加工し、加工したもの同士を組み立ててゆく。 少年は壁にもたれながら、そんな少女を眺めていた。 「なあアキラ。決めたわ」 「ん?何を?」 「世界は腐敗している」 「腐敗……確かにそうかもね。それで何を決めたの?」 「このままでは人類がまた滅びる日は近い」 「かもね。それで何を決めたの?」 「誰かがなんとかしないといけない」 「それで何を決めたの?」 「…………ちゃんと話を聞いているのか?」 「それ、ボクのセリフだよね?」 「まあ……なんだ」 少年は頭を掻く。
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