終わりの始まり

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日本。中国。米国。 地域を三分することで新たな争いを引き起こすのではないかという懸念はあったが、事態はそれどころではなかった。 なにせ一緒に生活しているのは、かつて殺し合った国々の民だ。殺されるかもしれないと疑心暗鬼になり、まさに一触即発だった。 つまり地域の分割は、いつ暴動が起きるとも知らない事態に対する救済措置。悪く言えば苦肉の策だ。 それでも状況は少しずつ少しずつ良い方へと進んでいった。 人々も争いに疲弊していた。何より協力しなければ明日を生きることすら困難だったのが大きい。 高度なテクノロジーはそのほとんどが失われたからだ。人々は畑を耕す生活に明け暮れた。 だがしかしそんな生活も長く続くと歪みが出てくる。 欲に駆られた人々が出てくる。 そうして人類は省(かえり)みることなく、再び腐敗しつつある。 着実に破滅への一途を辿っていた。
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