†Prologue†

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桜の花びらがひらひらと舞落ちる… 高校二年生の春。 自分が思っていたよりもずっと早く…あっというまに もっというとあっさりと 私はまた出会いと別れの季節を迎えることになった。 4月…。 私の誕生月でもあるこの季節は最も好きな季節で… 最も想いを馳せる季節でもある。 学生生活の中で一度は感じるであろう複雑な気持ち。 慣れ親しんだ先輩や先生達とのわかれ。 新たな仲間を向かえてのスタート。 漠然と目の前の景色を眺めながらいいようのない気持ちに胸がしめつけられる。 吹き荒れる爽やかな風のなか 私の居る3階の校舎を見守るように高く伸びた桜の木から 窓越しに一枚の花びらが風に乗ってやってきた。 ふわりふわりと浮かぶ花びらを取ろうと身を乗り出してみるけれど… 届きそうで一向に触れることのできないその距離は目に見えるよりもずっとずっと遠い。 儚…だからこそ心惹かれてやまないのだろうか。 担任の先生やクラスが発表されいよいよ新学期が幕を開けた。 みんながいなくなった後、まだ慣れない殺風景な教室を見回してから、明日からに向けて出口へと向かう。 平凡な毎日に訪れた新学期という小さな出来事が 沈みかけていた私の心に新鮮な空気を運んできてくれていた。
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