私という人間

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「…はぁ~…」 新学期が始まってから一週間。 初日に、私のなかに芽生えていた晴々とした気持ちは見事に陰り始めていた。 それも今にも雨が降りそうなくらい真っ黒な雲に覆われている…。 辛い? 悲しい? 寂しい? どれもあてはまらないけれど…もやもやとした黒いもので私の中はいっぱいだった。 心とは対象的に窓の外では相変わらず桜が舞い踊っているのに。 「―……桜の季節なのに…」 放課後の美術室 一人で机に突っ伏しているといつになく悲観的になってけない。 西洋人を象った掘りの深いセッコウの像とにらめっこをしているとガラガラとドアが開いた。 「実結どーしたん?」 はっと気がつくとそこには友達で同じ部活の加奈が心配そうに私を見ていた。 私達は二人とも美術部に所属している。 部員は多くはないけれど、絵を描いたり作品を作る以外に、個人的に皆で集まって遊んだりする仲のよい部活だ。 長期休みには顧問の先生と一緒にタコ焼きパーティーをひらいたり… 私にとっては美術室は学校の中でもっとも安らげる場所 美術室は私の大好きな…『ホーム』なのだ。 そして、加奈は入学してから美術部で一緒に時間を共有してきた大切な友達の一人。短めの髪で普段は大人しいけれど…芯が強くて優しい。モノマネが上手で私達を笑わせてくれる…これは内緒。 今だって何も言ってないのに声をかけてくれる。
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