0人が本棚に入れています
本棚に追加
不思議なもので
一人から
二人になった。
たったそれだけで単純にも私の心は少しだけ上向く。
「加奈、ありがとう。大丈夫だよっ!!」
「本当に?」
疑いの眼差しをむけられて、言うべきか少し迷ったけれど言葉がみつからない。
だからとりあえず部活で使う筆の準備に取り掛かった。
「うーん…まぁね。とりあえず絵の続きする?」
近々出品する展覧会用の、描きかけのキャンパスに向かいながらぽつりぽつりとたわいのない話をする。
基本的には部活時間も内容も自分のしたいことをするという自由なものだ。
それでもサボったりするような人はいない。
「加奈…今日先輩達くるかな?」
「うーん…なんか面談で遅くなるって言ってた。」
部活…テレビ…恋愛…
たわいのない話がひと段落した頃、話題はクラスの話になった。
「実結、新しいクラスはどんな感じ?」
瞬間、筆にとった絵の具が急に色あせて見えた。
正にそれだった。
私を悩ませている原因…それは新学期と同時に行われたクラス替えだったのだ。
「それがさ…―」
上手くいってない。
そう口を開きかけてちょっと違う気がして
「…難しいかな。」
とだけ言いなおした。
最初のコメントを投稿しよう!