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縄を解き終えると、兄さんはよろめきながら立ち上がった。
賀山の襟首を掴み、ドアから部屋を出て階段の上まで引きずっていく。
ああ、なるほど。
僕も、兄さんの横に立った。
「それ!」
賀山を、階段から転がす。あ、勿論手足は縛ってあるからね?
「…兄さん、納まった?」
「黙れ、クズ」
「はははっ…ねぇねぇ、ちょっとは僕のこと心配した?した?」
「……してねえよっっ」
「ひっどーい」
…っと、一階まで来たね。
兄さんが賀山を担ぐ。今が夜で良かったとちょっと思った。
「…ねえ、兄さん。」
「ん?」
「僕が何で賀山のこと見破ったか、聞かないの?」
兄さんの歩みが、止まった。
「…何となく、お前なら知ってそうな気がした」
「そういうものかな?そうだ、兄さん、ごめん。……僕が、もう少し早く気付」
「ぐ…ぅ…っ」
言いかけたとき、兄さんの肩に力なく横たわっていた人物が目を覚ました。
即座に兄さんは賀山を振り落とす。
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