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あー痛そう。―ま、自業自得だから同情はしないけど。
賀山は僅かな間虚ろな目をしていたが、急に気が付いたように体を捩る。
「貴様っっっ…ここから離れろ!お俺を運べ!」
汗血(かんけつ)極まった彼の様子を訝しげに思った僕は、尋ねる。
「どうしたの?」
「どうしたもこうしたもない!そんなことも分からないのか!?爆弾だ!後を残さないために仕掛けた!俺がビルを出た三十秒後に爆発する!ソ、ソウ設定したっ
た頼むから…」
ガス、と音がした。兄さんが彼の腹を踏みつけている。
そして僕に、声を掛けた。
「……行くぞ」
黙って頷く。
――…ちょっと待て。
今、ビルを出て何秒経った?
ズガアァァアアァン!!
コンクリートの塊が雨霰と降って来る。爆弾はビルの至るところに仕掛けてあったのか、全壊している。
ビルからは大分離れているがまだ安全とは言えない。
そう思って前を向くと、兄さんが走っているのが見えた。
よし、今のところ順調…………………………………………へっ!?
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