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兄さんの頭上に、でかいコンクリの塊が落ちてきている。
「うお!?」
小さい塊に、兄さんが転ぶ。
これじゃあ、兄さんは………っっっ
ドンッ―――――――――――……
「み…ず……?」
血の味が、口の中に広がった。
暗く霞んでゆく視界の中、兄さんが僕の名を信じられないという風に呟いているのが聞こえた。
だめだよ…。
兄さん…、ここにいると、危ないよ…?
「みず!みず!おい、しっかりしろ、今コレ退けるからな…っ」
だ…め…。
「………に、い、さん…。逃げ…、て… ウッ…」
なんだ、僕。何だかんだ言って結局、兄さんのこと大好きなんだ。
「でも!」
うるさい。
「…兄、さん……っ、大、好き…!だ、か、ら…っ、逃、げ――……」
て、と続けようとしたが、もう限界が来たみたいだ。
視界が真っ黒に塗り潰される。
凄まじい痛みと血の中、僕は最後まで呑気だった。
あはは、僕、結構冷静――…?
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