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「オラ。起きろ、クズ。……殺されたいのか?」
バスッ
「―っ痛!な、何するの………って、に、兄さん!?」
目覚めは最悪だった。
まだ眠い目をこすりながら起き上がると、そこには新聞を丸め振りかぶっている青年の姿が。
うん、状況は大体把握できた。
「おう、起きたな?フフ、お前は俺らの情報係だからなあ…!
ホイ、早く仕事しろ。仕事。“柊"っつう族について。
……遅い!それでもハッカーか?」
僕のベッドの横に突っ立っている柄の悪そうな…いや悪い青年は、僕の兄。丈一郎。
…そして、外見通り兄さんは とある大きな族の総長だったりして。
その妹である僕はそれに付き合わされてる憐れな機械マニアな訳で。
「……寝起きですぐターゲットの情報を調べられる人の方があり得ないと思いますけど」
「ごたごた言ってねェで早く調べろ!」
…僕、ハッカーじゃなくて機械マニア…。
―――その間も僕の指は物凄いスピードでキーボードを叩いている。
兄さんは、怖いからね。
「“柊"―…あ、あった。これでいい?」
「よし、よくやった。…ふむ、思ったわりには人数少ねぇな。
今日中に潰しに行くか。
ったくよぉ…“柊"のしたっぱの癖に!俺を誰だと思って―まあいい。目にもの見せてやる。」
どうやら、兄さんは柊の連中に何らかの悪戯をされて恥をかいた様だ。…ま、家族だし?これくらい余裕で推測できる。
確かに兄さんはがたいが良いし、人相悪いし、すっごく悪役が似合うってことも分かってる。
…でもね?
僕、時々思うんだ。
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