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中は、赤ん坊の泣き声と子供の誕生を祝福する言葉で一杯だった。
さっと周りを見回すと、一番奥のベッドに子供と妻が居ることが分かった。
「イレーヌ!」
急いで駆け寄る。
イレーヌ―私の妻は、私が傍によると幸せそうに微笑んだ。
「あなた…男の子の双子ですわ」
男の子!女の子が欲しく無いわけではなかったが、妻が腹を痛めて産んだ子だ愛しくないわけがない。第二、三王子の誕生だ!
「…で、どちらが兄でどちらが弟かね?」
私は、視線を妻の横、つまり泣きわめいている兄弟に向けて呟いた。
イレーヌは、右の濃い赤毛の子を兄、左の赤褐色に白い髪が数束か混じっている髪の子を弟だと言った。
…ふむ、名前はどうしたものか?
私は二人を見つめたまま考え込んでしまった。
夜に産まれたからナイトとムーン…、否冬だからウィンとスノー。それも違うな…。チェス――。
そうだ、それが良い。
考えが纏まると、黙って私のことを見つめているイレーヌに笑いかけた。
イレーヌは私のことを良くわかっていて、決して私に不快感など与えない。本当に良い妻だ。
「息子達の名前を考えていたのだ。
兄がクィン、弟がルーク。…どうだろう?」
イレーヌはそれを聞くとまた、幸せそうに笑った。
「ああ、素晴らしい名前ですわ。何か異論があるように見えまして、国王陛下?」
私は、心の底から、妻と、今産まれたばかりの息子たちを見て、幸せだと感じた。
「よくやった、おまえ」
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